
調査の形態
一般調査
担当部署 ――― 所轄税務署の調査部門
法的根拠 ――― 質問検査権に基づく任意調査
ほとんど、95%ぐらいがこの調査
1人か2人で訪問
任意調査なので強制力はなし
ただし、質問・検査をこばむと、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金
間接的な強制力
通常、顧問税理士に調査日程の連絡 都合のいい日・時間を指定できる
もし、突然きたら 玄関から一歩も入れさせない、応接間もダメ
顧問税理士に連絡 税理士より帰るように言ってもらう
調査先の選定
・ 開業して長年来ていない
・ 措置法の経費率の適用を受けていないところ
・ 受けていても、保険収入が5000万円に近いところ
・ 自由診療の多いところ
・ 他の医院とくらべて経費の率が高いところ(MS法人への手数料等)
・ 配当所得などの他の所得が漏れているのがわかっているところ
(20%源泉 1回5万円 1年10万円超)
調査対象期間
通常の調査では直前3年分
悪質な脱税等は7年分―――実際はせいぜい5年分
進行年度は調査対象外 現況調査といって現在の出納帳をみる傾向あり
税務調査の実際
(1) 事前連絡
税務署より顧問税理士に調査の連絡
調査理由 大抵、「所得の確認」というあいまいな返答
調査対象年度 前年以前3年分
調査予定日 通常2日間の予定を要請
診療等に影響があるため、極力1日で終わらしてほしい旨を伝え
とりあえず1日だけ決める。1日目が終わりに2日間するかしないか協議
院長の都合のいい日でOK
(2) 事前準備
過去3年分の収入と費用の資料、総勘定元帳、申告書を年度ごとに区分
して整理する
よけいなメモや資料は手元用の袋へ 勝手に見させないため
(3) 調査当日
―― 調査を受ける側の大原則 ――
憲法の住居不可侵の原則
質問検査権の範囲内で質問を受け、検査を受ければよく
(租税社会の秩序を守るため)それ以上のことに協力する必要はない
10時頃くる
院長は手のあいたとき出てくればよく、昼休みでもよい 診療優先
奥様も診療を手伝っているときは同様、税務署の相手は税理士に
調査官に対しては正々堂々と毅然とした態度で
曖昧なことは言わず、「はっきり覚えていない」「後で調べてから答える」
という返事を
1)雑談
家・家具等を誉めることあり ――申告内容に見合う物かチェック
趣味のはなし ――後で見る経費の参考とする 「特になし」
2)事業の概要
診療科目・診療時間・開業年度
3)お金の流れについての質問
・窓口現金の扱い者
・1日終わった後の締めは誰がやるか、釣り銭以外のお金の行方は
窓口収入を身内が扱っている場合はごまかしているのではとの疑念をもつ
ここで、「では、今つけている現金出納帳とレジをみせてください」と言
ったら要注意
調査年度は過去の3年分と税務署員本人が電話で言ったこと
進行年度は所得がまだ確定していないので見せる必要なし
「現在の記帳状況を過去の申告の参考にする」と反論してくる
具体的になにがどうだったら、どうなのかと質問する
見せないために過去の所得の調査ができない訳ではないため質問検査権
の拒否には該当しない
4) 金庫・各引出・プライベート用通帳等
とにかく調査官は二言目には「所得確認のため」という
令状なしに所得確認のためなら何をしても良いわけがない
みたい資料があれば、言えばこちらから提示する旨を言う
5) 収入
ア)保険窓口収入・自費窓口収入
カルテの提示の要求――― 理由 所得確認のため
医院が発行した領収書が医療費控除の申告を経て税務署に資料化
窓口収入を一部ごまかしているのではないか
日計表 ―― 現金出納帳 ―― 総勘定元帳 ―― 申告書
この流れで確認すれば十分
どうしてもやむを得ず見せる場合
誰と誰の分か紙に書かせて
「上記の人のカルテを閲覧しました」 日付、氏名を記入してもらう
税務署員にとっては相当プレッシャーになる
見ることの重要性を認識してもらう
医師の守秘義務
刑法134条
医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、公証人又ハ此等ノ職ニ在リシ者故
ナク其業務上取扱ヒタルコトニ付キ知得タル人ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ
六月以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス
刑事訴訟法105条
医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職に
在る者又はこれらの職に在った者は、業務上委託を受けたため、保管し、
又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことが
できる。但し、本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人ためのみにする
権利の濫用と認められる場合その他裁判所の規則で定める事由がある場合
は、この限りでない。
イ) 振込収入
医師会からの振込に注意 ――― 給与所得に該当するものがある
事業所得で収入に入れると二重課税
収入に入れないため調査官は計上漏れと勘違いする
6)経費
ア)人件費
給与の計算根拠を質問する
計算した資料の提示を求める
根拠の資料のない人間がいたら架空人件費を疑う
時給計算の人については必ず資料を残しておく
イ)一般経費
調査の原則 ――― 必ず領収書から見ていく
・ 消耗品等で単に品代と記載されている領収書で数千円以上の物は調査官に
「否認してください」と言っているようなもの
必ず、品名を記載しておく
・ 同様に飲食代を交際費に計上する場合も、必ず、相手の氏名を書いておく
・ 医学部の同窓会費――調査官は一般学部又は高校出身なので私的支出と見る
同級生の結婚式祝い金
同業者団体の集まり
損得なく情報を交換しあえる貴重な場
・ 医療消耗品関係
セーター・普通のズボン等を他の品物と一緒に購入している例あり
・ 薬品関係
比較的規則的に大量に購入する薬については年末の在庫を数えるとき
在るべき数量は必ず計上しておく
ウ)専従者給与
職務内容をきちんと押さえておく 下記参考
職務内容以外の基準
・ 自宅と診療所が一緒かどうか ――― 時間外の対応業務の有無
・ 資格の有無
・ 子どもの人数と年齢 ――― 子育てに必要な時間
7)その他
ア) 帳簿の持ち帰り
調査官は調査が終了しないため署に持ち帰ってみたいと主張する
質問検査権に帳簿を持ち帰る権限はないので拒否
そのために調査日数が延びるようなことを調査官がいったら
納税者に対しての恫喝である旨の抗議をする
質問検査権に基づく調査方法により通常要する日数でおこなうことを要求
(1〜2日)
任意調査の場合、納税者に過重な負担をかけてはならない
調査の初日の最初に言っておくとプレッシャーがかかり有効
イ) おみやげ
わざと間違えておいて、調査がきたら発見してもらって、修正申告をして
多少の税金を支払ってすまそうとする
全く必要なし
へたに間違えると、こんなところを間違えるくらいなら、もっとほかに多くの
間違いがあると期待を持たせてしまう
(4) 調査のまとめ
調査の最中は調査官の言ったことについて、いちいちムキにならない。
一応反論はしておく 認めたと思われないため
ボクシングでいうと、ジャブをくりだして様子を見ているようなもの
本当の勝負はこのまとめの段階
最初に調査官に問題点をすべてだしてもらう 後で芋づる式に出させないため
問題点のうち認められないのは絶対譲らない
調査官は納税者が自ら提出する修正申告を望んでいる
どうしも折り合わないときは税務署は「更正」といって一方的に税額を決定する
なぜ、「更正」を調査官がきらうか
・ 調査官自身に納税者を説得する能力が乏しいと上司に思われてしまう
・ 青色申告者に「更正」する場合、厳格な記載要件があり欠けると無効になる
ため慎重に書かざるを得ず、よけいな仕事が増えてしまう
・ 納税者が異議申し立て・審査請求・訴訟までいくと、いつ呼ばれるかわから
ない
修正申告は納税者自らが書いて提出するため、後で直すことはできない
調査官と激しくやり合っても、後で意地悪されることはない
きちんと対応すれば、手ごわいところだと思う
ただし、暴力をふるうとか理不尽なこと、女性だから…等は慎むこと
彼らも、心中は高級官僚に複雑な思いがある。
へたに妥協して税金をある程度払うと、修正申告の記録が税歴表に残り、何年
かすると、また、修正がとれると思って来る可能性がある。
調査の時が顧問税理士の真価を問われるとき
納税者側に立つか、税務署員となれあいになってしまうか